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自社中計京都FG

中期経営計画(2026-2028年度)

京都フィナンシャルグループ / 2025年 公表

kyoto-fg-midterm-plan-2026-2028.pdf…-2026-2028.txt

原典: https://www.kyoto-fg.co.jp/company/management-plan/


京都フィナンシャルグループの中期経営計画(2026〜2028年度)「京都・関西の成長を日本の力に。京都FGの挑戦!」は、IT・DX投資を前中計比で倍増の150億円以上に引き上げ、AI・データ活用を全社の成長エンジンに据える3カ年計画です。前中計のKGIを計画1年目で前倒し達成した勢いを発射台に、より挑戦的な財務目標を掲げ、顧客接点・営業・業務の3領域にわたる具体的なDX施策と、その効果(金額・時間)を一体で示している点が、本計画の最重要メッセージです。

概要 ― 計画の全体像

計画期間は2026年4月〜2029年3月の3か年。前中期経営計画(2023年10月〜2026年3月)で持株会社体制へ移行し、成長の前提となる「強固な土台」を確立したことを踏まえ、新中計はその土台を発射台に成長のギアを上げると位置づけています。10年後のありたい姿は「すべてのステークホルダーと共に持続的な成長の好循環を創出する価値創造グループ」、中計で目指す姿は「京都・関西の地域価値向上によって日本の成長を牽引するトップ金融グループ」です。

主要戦略は次の3点です。第一にトータルソリューション戦略(顕在化した課題の単発解決にとどまらず、潜在ニーズも含めた課題の全体像をグループ全社で解決)、第二に地域成長・共創戦略(様々なプレーヤーと連携し、特に少子高齢化という地域全体の課題に応え、地域の成長を共創して新たな収益の柱とする)、第三に不断の最適化戦略(部分最適から脱却し、全体最適目線で事業ポートフォリオ・リソース配分・ガバナンス・業務のあり方を絶え間なく見直す)。IT・DX戦略と人的資本投資は、この3戦略を横断的に支える共通基盤として明確に位置づけられています。

経営目標(KGI/KPI)

財務のKGI(最終到達目標)は、ROE(純資産ベース)8%以上、ROE(株主資本ベース)16%以上、親会社株主帰属利益900億円以上(いずれも2028年度)。これらは前中計KGIをROE純資産ベース8%超・親会社株主帰属利益950億円見込(当初目標300億円)と1年前倒しで達成したことを受け、2024年度に公表した戦略目標(純利益600億円等)より更にチャレンジングに引き上げたものです。政策金利は2028年度に1.50%(足もと0.75%から毎年0.25%利上げ)を前提としています。

KPI(重要業績指標)は、OHR(経費/業務粗利益)40%台、ベンチャー投資を中心とした成長投資(純増)1,000億円以上(2年前倒し)、IT・DX投資150億円以上人的資本投資70億円以上。前提として自己資本比率10%程度、総還元性向50%以上、政策保有株式縮減3,000億円以上(時価)を置きます。IT・DX投資と人的資本投資がKPIとして明示されている点に、本計画のDX・人財重視の姿勢が表れています。

IT・DX戦略の位置づけ

AI・データの利活用や新しいデジタル技術を、営業・業務の質を向上させ顧客体験向上や商品・サービス創出を実現する原動力と捉え、これらを積極導入して組織全体のDXを推進します。目指す姿は「顧客体験の向上」「企業価値の向上」「新たなビジネスの創造」の3点。これを顧客接点DX・営業DX・業務DXの3つの柱で進め、その土台にデータドリブン経営×AI活用(AIエージェント)×新たなデジタル技術と、データ統合基盤・ガバナンス・セキュリティ・AI/DX推進体制・AI/DX人財という4つのインフラ・体制整備を置く構造です。

投資面では、オーガニックなIT・DX投資額を前中計比倍増の150億円以上とし、「価値創造」と「基盤強化」の両輪でKGI・KPIの達成に繋げます。内訳は価値創造80億円+基盤強化70億円。前中計実績は70億円程度(価値創造20億円+基盤強化50億円)であり、総額で約2倍、とりわけ収益に直結する価値創造領域は4倍へと大胆に振り向けています。

顧客接点DX ― スマホ・ポータルを「入口」、店舗を「深い相談の場」へ

「デジタル×リモート×リアル」によるシームレスな顧客導線を構築し、「日常取引はデジタル」「相談業務はリアル(リモート)」の流れを加速します。スマホ・ポータルを入口、店舗を深い相談の場と役割定義し、異業種と共創して金融サービスを生活導線に組み込み、新たな顧客接点と収益源を創出する考えです。

主な施策

効果として、京銀アプリ・ビジネスポータルの刷新によるトップライン向上 年間15億円、営業店スマート化による店頭事務 年間5.5万時間削減が中計に記載されています。

営業DX ― 営業活動をAI・データで包括サポート

パーソナライズされた提案を最適なタイミングで提供し、情報収集や記録作業を自動化して営業活動を高度化・平準化・効率化します。属人的だった営業の質を底上げし、行員が顧客との対話に時間を割ける状態をつくることが狙いです。

主な施策

効果として、音声テキスト化AIツールにより営業時間を年間5.3万時間捻出。AI・データ活用全体での業務量削減は年間40万時間(220人相当)と示され、営業活動の高度化による収益増加が見込まれています。

業務DX ― 事務を極限まで圧縮し、人員を高付加価値業務へ

AI・デジタル化により事務を極限まで圧縮し、限られた人員をより高付加価値な業務へ振り向けます。企画・商品開発についても質・量・スピードの向上を図ります。

主な施策

データ×AIの土台・人財・基盤・サイバー

3つのDXの土台はデータドリブン経営×AI活用です。社内外のデータや情報をAI等も駆使して最大限に活用し、攻め・守り両面で貢献する考えで、その下支えとしてデータ統合基盤・ガバナンス/セキュリティ・AI/DX推進体制・AI/DX人財の4要素を整備します。

人的資本投資と戦略的配置転換

人的資本投資は前中計倍増の3年計70億円以上で、地方銀行グループNo.1の人財育成を実践し、エキスパート人財・スペシャリスト人財を計2,000名育成します。さらにFG総人員数をフラットにコントロールしつつ、経営戦略と連動して全従業員の1割超(計380名)を戦略的に配置転換。内訳は本部営業+100名、法人営業(営業店)+40名、本部企画・管理+130名、BK以外のグループ会社+110名で、DXによる業務削減で生まれた人員を成長領域へ再配置する設計です。

基盤強化とサイバーセキュリティ

基盤強化(50億円→70億円)では統合バンキングクラウドへの移行対応次期クラウド仮想基盤の構築を進め、IT・DX施策を高速かつ持続的に実現するためのデジタル基盤を整備します。サイバーセキュリティ対策は経営のトップリスクの1つと位置づけ、「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」の基本的な対応事項126項目を完遂。多層防御の監視態勢構築、ASM(Attack Surface Management)による脆弱性管理の高度化、サードパーティのセキュリティ強化、グループ会社への柔軟な統制を進めます。

IT・DX投資(150億円以上)の施策と効果(中計記載)
柱/区分主な施策中計記載の効果
顧客接点DX京銀アプリ・ビジネスポータルの刷新、法人決済関連サービス等の拡充、営業店のスマート化、CRMへのAI機能搭載トップライン向上 年間15億円/店頭事務 年間5.5万時間削減
営業DX音声テキスト化AIツールの導入、AI稟議書作成システムの導入、データ活用基盤「SIC」の拡充営業時間 年間5.3万時間捻出/営業活動の高度化による収益増加
業務DXAzure OpenAI Serviceの機能拡張、クラウドオフィスツールの導入業務時間 年間3.4万時間削減
価値創造(合計)上記3つのDX(前中計20億円→80億円、4倍)業務量削減 年間40万時間(220人相当)/戦略的配置転換 380名
基盤強化統合バンキングクラウドへの移行対応、次期クラウド仮想基盤の構築、サイバーセキュリティ対策(前中計50億円→70億円)デジタル基盤強化・セキュリティ整備(ガイドライン126項目完遂)
投資総額価値創造80億円+基盤強化70億円(前中計比倍増)KGI ROE8%以上・親会社株主帰属利益900億円以上に接続
京都銀行 DX本部長への示唆
  • IT・DX投資150億円は「価値創造80億円(攻め)」と「基盤強化70億円(守り)」の両輪。各施策を独立案件として積み上げるのではなく、収益KGI(ROE8%以上・親会社株主帰属利益900億円以上)に紐づく変革ポートフォリオとして束ね、価値創造を4倍に振り向けた配分の妥当性を経営目線で説明できる状態にする。
  • 効果は「金額」と「時間」の二系統で語られている。トップライン+15億円、営業5.3万時間捻出、業務3.4万時間削減、店頭事務5.5万時間削減、そして全体で業務量40万時間(220人相当)削減を、創出時間の再配置先(戦略的配置転換380名・高付加価値業務)まで一気通貫のKPIとして可視化し、削減だけで終わらせない。
  • AI・データ活用は土台の4要素(データ統合基盤・ガバナンス/セキュリティ・推進体制・人財)が前提。SICやAzure OpenAIなど個別ツールの導入順序を、基盤未整備がボトルネックにならないよう設計し、データ品質とガバナンスを攻めの施策の手前で固める。
  • サイバーセキュリティはガイドライン126項目完遂・経営トップリスクと明記されている。攻めのDX投資と対でKRI(リスク指標)として管理し、ASMによる資産可視化やサードパーティ管理の進捗を経営会議へ定期報告する枠組みを設ける。
  • 統合バンキングクラウド移行・次期クラウド仮想基盤は、施策の「高速かつ持続的な実現」の前提条件。移行は不可逆性が高くコスト・リスクも大きいため、価値創造施策のロードマップと依存関係を明示し、移行遅延が顧客接点・営業DXの効果発現を遅らせないようマイルストーンを連動管理する。